介護老人保健施設いずみを訪問しました(第3回)
2010年 02月 14日
活動が始まる前から「お待ちしていましたよ」と声をかけてくださる方もいて、この時間を楽しみにしていてくださる気持ちが伝わってきます。このような一言が、わたしたちにとっては大きな励みです。
さて、5回シリーズで実施するこの活動も、この日で3回目を迎えました。
今回は、全5回の系統だったプログラムの中から、楽器活動へ入る前のウォーミングアップ活動をご紹介したいと思います。第1回目におこなった、手指を使う「グーパー」体操から、第2回目は「グーチョキパー」体操へ、そして今回は指を1本ずつ出していく「ひい、ふう、みい」体操へと、段階的に複雑な動きへとステップアップしていきました。
参加してくれた皆さんの中に、膝の上で、小さく指を動かしている方がいらっしゃいました。気をつけていないと見落としてしまいがちな小さな出来事ですが、音楽によって引き出されたこのようなわずかな反応を見逃すことなく観察し、職員さんと情報を共有することを私たちは大切にしています。それは、個々に残されている機能や能力の、あらたなもしくは意外な発見であることも多いようです。このような小さな反応をうまく強化していくことで、日常のケアに役立てていただくことへとつなげていく可能性も期待できるからです。
手指の体操に続くウォーミングアップ活動として、鈴紐の活動を実施しました。
「今日は途中から速くなるかもしれませんよ」と、みなさんにも活動内容のレベルが上がっていることを意識していただきます。
「箱根八里」の歌に合わせて、山道をゆっくり登ったり一気に駆け下りたり、みなさん左右のお互いの動きに誘発されながら、テンポの変化にしっかりと付いてきてくださいました。
実は初回には鈴紐を口に入れてしまった方もいらっしゃったのですが、前回はそのような行動も見られず、今回はきちんと手に持って参加してくださいました。
音楽療法の活動に参加したことを覚えていないなど、短期の記憶が定かではないと思われている方でも、身体のどこかに残された一片の記憶が積み重なり、このようなかたちで継続の成果となり表われているのかもしれないと感じています。もちろん、どの活動場面でも職員さんが個々にかかわり、声かけや適切な補助をしてくださっていることも、活動の成果へとつながっていることはいうまでもありません。
毎回、多くの職員さんにお手伝いいただくことは大変なご負担であるにもかかわらず、活動へのご理解、ご協力をくださることに心より感謝を申し上げます。
注:施設入居者さんの写真利用については許諾をえております。
担当:蔭山真美子、今野貴子
学生アシスタント(重田絵美、鵜飼文代、松井千恵子、阿萬野千尋、野口由衣)
企画運営協力:大学院応用音楽学研究室